最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「指定の場所にバイク置いといたぞ。ヘルメットも二つある。っつーか生吹、お前ってバイク乗れんの?」
12月24日。クリスマスの夕方。
俺は前もって生吹に頼まれていたバイクを届けに、駐車場に来ていた。
さっきのは不要な心配だったのか、生吹は「問題ない」との返事。
つーか、電話の向こうがやけに静かだな。今日は美月ちゃんとデートのはずだろ?
「じゃあ俺、帰るから」
っていうか今日、お前は決闘に行くのか――
と言おうとした、その時。
『あ、ちょい待って』
と生吹の声。
「なんだよ?」
『えっと、一輝この後って何か用事が入ってる?』
「ねーよ、何も」
『じゃあ良かった。今からこっちに来てくれる?合流したいんだ』
「……」
生吹の喋り方が違う。いつもより百倍優しい言い方だ。
ということは……