最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「まだ帰っちゃだめっ」
「美月ちゃん……?」
「だって、これから三人分のお料理来るんだもん。一輝くんがいてくれなきゃ、食べきれないよッ」
だから、ね――?
コテンと頭を倒してお願いをする美月ちゃん。
いや、それは控えめに言ってヤバい。
可愛いワンピース姿にブーツ。ほんのりとお化粧をして、いつもより更に可愛くなった顔。
「こっちだよ」と手を引っ張られ、俺は席に座らされる。
向かいには、いつ席を移動したか分からない生吹と、嬉しそうなニコニコ顔の美月ちゃんがいた。
「なぁ、生吹……」
「ん?」
イノシシじゃない、王子様スマイルで見てくる生吹。内心「ケッ」と毒づきながらも、素直に褒めた。