最強王子とフェンス越しの溺愛キス
冷たくあしらうと、当たり前だがタク先輩は怒りを露わにする。
「おい春風。俺にそんな口叩いて、ただで済むと思ってんのかぁ?」
「暴力ですか?さすがは暴走族ですね。
ほんと……
Lunaの程度が知れる」
吐き捨てるように言うと、タク先輩は「生吹ぃ!!」と怒鳴った。
いきなり名前を叫ばれて、嫌悪感しかない俺。
「……やるなら相手しますよ」
少し態勢を低くして、構えのポーズに入る。
だけど俺とタイマンを張る勇気はないのか。タク先輩は「チッ!」と舌打ちをして踵を返す。
「覚えてろよ、このままじゃ済まねぇからなぁ」
そんな言葉を吐き捨てて、元来た廊下を戻って行った。
「はぁ……」
面倒なヤツだ。
俺の事を生吹って呼び捨てにするなら、俺も別に「タク先輩」って言わなくていいよな。
「新島、か。面倒なヤツ」
すると、のっそりと歩いてきた一輝が、俺の肩を叩く。