最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「マジでなんだよ……どいつもこいつも」
「はいはい、悪かったって」
そして、薄く笑った生吹は、こんなことを口にする。
「お前は、なんも心配するなって話」
ポツリと。ひと言。それだけ。
「……生吹?」
ただの言葉といえば、そうだ。生吹は、俺が色々心配してると思って、そう声を掛けただけなのかもしれない。
だけど――
胸の奥が、妙にザワついた。
いまの、どういう意味だよ?と聞き返す前に、遠くの方でパタパタと音が聞こえる。美月ちゃんがトイレから戻ってきたらしい。
「ごめん~思ったより混んでて!」
「大丈夫、まだ料理は来てないよ」
「よかったッ」
ニコニコ笑う美月ちゃんの横で、普通に笑っている生吹。そして「料理はまだかな?」と、腰を上げて厨房を見た。
すると――