最強王子とフェンス越しの溺愛キス


料理が無駄にならなくて良かった!と同時に、もう一つ心配ごとが……。そう、お金。

だけど生吹くん曰く「持って行く料理分の料金に関しては、食べたいって言ってくれた人が払ってくれるみたい」とのこと。



「い、いいのかな?そもそも私のミスなのに」

「気前よく、良いって言ってくださったから。大丈夫だよ」

「でも……」



俯いてモジモジする私に、生吹くんは「美月」とヘルメットをポンと投げる。「わゎ!」慌てながらも、何とかキャッチをした。ヘルメットって案外重い……。



「髪が崩れるかもしれないけど、ごめんね」

「ううん!バイク乗るの初めてだから楽しみ!生吹くん、免許持ってたんだね、すごいっ」



すると生吹くんは一瞬、動くのをピタリとやめた。そして、

「安全運転でいくからね」

それだけ言って微笑む。



「(えっ……ま、まさかね?)」



一瞬湧いた疑問を飲み込み、ハンドルに手をかける生吹くんを見る。

< 331 / 447 >

この作品をシェア

pagetop