最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「ひだまりの子の家……。
私が育った施設……っ」
ここを離れてそんなに経って居ないはずなのに、どうしてかすごく懐かしく感じてしまって。思わず、涙腺が緩んだ。
「生吹くん、ここ……っ」
「うん。前に美月が、ここの名前を口にしていたのを覚えてて。ずっと、連れてきてあげたかったんだ」
「私の、ために……?」
「もちろん。それと――施設長のためにも」
「え」
生吹くんは顔を動かす。私も同じ向きに目をやると、建物の中からある人物がこちらに近づいてきていた。
駆け寄って、だけど歩いて。でも、また駆け寄って――
「――き、美月!」
「施設長……っ」