最強王子とフェンス越しの溺愛キス
今年何歳になるんだっけ。ずっと前に五十歳だったんだから、今年はもう何歳なんだっけ。あぁ、あんなに走って。疲れてるのに、走れるほどもう元気じゃないくせに。
まるでわが子が久しぶりに帰って来たみたいな、そんな反応しちゃって――
「(ダメ、泣いちゃう……っ)」
パッと施設長から目を離す。すると、その視線の先には生吹くんがいて。
「行っておいで」
「っ!」
「いっぱい話したい事があるんでしょ?」
「生吹くん……っ」
まだ迷っている私の瞳を、自分に合わせる。そしてコクンと頷いて――
「ほら、美月」
と、私の背中を押した。