最強王子とフェンス越しの溺愛キス



「で、も……っ」

「白いのにも言ってたでしょ。前に進めた気がするって」

「あっ」




そう、だった……。私はもう、昔みたいな弱い私じゃないんだ……。昔のトラウマも克服したし、友達も出来た。それに――




「(施設長には、謝りたいことがあるんだ……っ)」




すると、門が開いて施設長が出てくる。


「はぁ、はぁ」と肩で息をする施設長は、すごく白髪になり、体中に刻まれるシワの数も増えたようだった。




「美月」

「!」




だけど、私を呼ぶ優しい声だけはそのままで。私は、やっぱり泣きそうになってしまう。




「来てくれてありがとう、美月。ずっと心配してたんだよ?メールも寄こさないし手紙も……。って、まあ、それはいいか。便りがないのは元気な証拠って、昔から言うものねぇ」

「施設長……」




「うん、おかえり。美月」

「~っ」




施設長、ううん。お母さん――


< 336 / 447 >

この作品をシェア

pagetop