最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「で、も……っ」
「白いのにも言ってたでしょ。前に進めた気がするって」
「あっ」
そう、だった……。私はもう、昔みたいな弱い私じゃないんだ……。昔のトラウマも克服したし、友達も出来た。それに――
「(施設長には、謝りたいことがあるんだ……っ)」
すると、門が開いて施設長が出てくる。
「はぁ、はぁ」と肩で息をする施設長は、すごく白髪になり、体中に刻まれるシワの数も増えたようだった。
「美月」
「!」
だけど、私を呼ぶ優しい声だけはそのままで。私は、やっぱり泣きそうになってしまう。
「来てくれてありがとう、美月。ずっと心配してたんだよ?メールも寄こさないし手紙も……。って、まあ、それはいいか。便りがないのは元気な証拠って、昔から言うものねぇ」
「施設長……」
「うん、おかえり。美月」
「~っ」
施設長、ううん。お母さん――