最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「あらあら、この子ったら。生吹さん、疲れたでしょう。どうぞ、中に入って。中で皆も待ってるの。ゆっくりしていって」
「えぇ、そうさせていただきたいのは、やまやまなのですが……」
生吹くんは私とお母さんから一歩下がって、ペコリとお辞儀をした。
「すみません、今日はここで失礼します。美月さんも久しぶりにお家に帰れて嬉しいでしょうし、家族水入らずでお過ごしください」
「まぁ、でも、そんな」
「いいんです、美月さんの良い笑顔も見られましたし。俺も嬉しいんです」
「(生吹くん……っ)」
私が見惚れている横で、お母さんも釘付けになっているのが分かる。私の体を肘で小突いて「やるじゃない美月」とウィンクされた。