最強王子とフェンス越しの溺愛キス
生吹くんは私を見ていた。ずっと、視線を逸らす事なく。逸らしてしまったのは、私の方だ。
「ご、めん……今の、聞き間違い……?」
自分のワンピースの裾を見ながら言うと、上から生吹くんの声が降って来た。
「本当だよ」
「!」
その声は、いつも通りの優しい生吹くんの声。私が大好きな人の声だ。
だけど――
「私、いつか言った……。暴走族は苦手って」
『生吹くんが強いのは、もう分かってるつもり。だけど……。総長じゃない、暴走族に入ってないって言ってくれて。あぁ良かった、って思っちゃった』
『もう大切な人を失いたくない。危険な事に巻き込まれないでほしい。生吹くんには、血と関係の無い世界で生きて欲しいって』
そう話した事を、生吹くんは「覚えてるよ」と言った。
でも、じゃあ、なんで……っ。