最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「理由を、聞いてもいいのかな……?」
ギュッと握り締めた拳がカタカタ震える。フェンス越しに見る生吹くんを一瞬でも見逃さないようにと、必死に前を向いた。
だって、どこかへ行っちゃいそうだから。生吹くんが、このまま私の傍を離れて、ずっと帰ってこないんじゃないかって。
なぜだか、そう思った。
「俺は」――生吹くんが口を開く。
「俺は美月を守りたいだけだよ」
「守る……?私を?」
「美月が俺に血と無関係な世界で生きてほしいと願うように、俺も美月に、危険とは無関係の世界で生きてほしいんだ」
「危険と、無関係の世界……」
頭の整理が追い付かなくて、私はただ、言葉を反復することしかできない。