最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「俺は、もう美月に危険な目に遭ってほしくない。いつも思う。今、この瞬間に美月が危険な目に遭っていたらって」
「でも、いつも助けてくれてるよ……?」
「いつも助けられるとは限らない。それに本来なら新島と密室に閉じ込められた時点で、俺は負けだ。そんな所に美月を一秒でもいさせた俺を――俺は許せない」
「で、でも……」
でも――の後が続かない。生吹くんを思いとどまらせたいのに、言葉が思いつかない。
すると生吹くんがフェンスに近寄ってくれる。学校にあるものと同様、穴が大きいので手がスルリと通る。生吹くんは「来て」と言わんばかりに、通した手で私を招く。
「生吹くん……」