最強王子とフェンス越しの溺愛キス
戸惑いと、ショックと。私の中の心は、暴れているようだった。目の前に生吹くんが……好きな人がいるのに、全然浮ついた気持ちになれない。
ばかりか、
「私、自分が許せない……」
「美月が?どうして」
「私、自分の幸せの事ばかり考えてた。もしかしたら今日、生吹くんと付き合えるんじゃないかって。彼氏彼女になれるんじゃないかって、そんな事ばかり考えて……。生吹くんは、こんなにも私の事を考えていてくれたのに……っ」
「それは、美月が悪いんじゃない。美月は何も悪くない」
「(じゃあ……)」
誰が悪いの――?
声にならなかった言葉は、涙に変わって目から零れ落ちる。