最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「さっき私が”付き合いたい”って言っても、”彼氏彼女になりたい”って言っても……。生吹くんは、今、何も言ってくれないんだね」
じゃあ付き合おうとか、じゃあ彼氏彼女になろうとか。
そんな流れには決してならない。私の思い描く未来は、生吹くんの手によって遮断されている。
「……違うよ、美月」
すると生吹くんがポツリと零した。その顔には悲しそうな笑みが浮かんでいる。
「付き合ってって言う権利がないんだ。俺には。彼氏が暴走族だったら、美月はいつも苦しむ。今ケガしてないか、もしかしたら何か襲撃にあったんじゃないか――とか絶対に考えちゃうでしょ。
だから、俺は言えないよ。付き合ってください、なんて言えるわけない。その言葉が、今後ずっと美月を苦しめるって分かっているから」
「そ、そこまでして……」
私と付き合うのを我慢してまで暴走族に入らないで。
そこまでして、私を守ろうとしないで。