最強王子とフェンス越しの溺愛キス


だって私、



「こんなにも、生吹くんが好きなのに……っ」



ガシャンとフェンスを掴んで泣く。

こんなことってない。さっきまで二人幸せに笑っていたのに……今どうしてこんなに悲しいの。




「これじゃあ……さっきまでの出来事が、夢みたいだよ……っ」



さっきお店に入った時に生吹くんが言った言葉の意味が、やっと分かった。



『この時間が永遠に続いたらいいのにね』



生吹くんは、初めからこうするつもりで全部、全部――でも、じゃあ。私の気持ちはどうなるの。




「消えないよ、生吹くんを想う気持ち……。ずっと、消えてくれないよ……っ」




行き場のない気持ちは、
幸せに温めて来た感情は。


今日から私、どこに置けばいいの――



すると生吹くんが私の手から、自身の手をソッと重ねる。


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