最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「(藤堂先輩だ……!)」
この後Moonで集まって何かするの?何かがあるの?何をするの?ケンカ?それとも、もっとヒドイ事?
そんな事、させない――っ。
「(いっ、ん!)」
生吹くん――
手を伸ばして無理やり電話を止めようとした、その瞬間だった。
生吹くんはフェンスに通していた手を私の後頭部にあて、グッと自分の方へ押し当てた。そして近づく二人の顔。生吹くんは「(静かに)」と口パクをして、そして――私にキスをした。
それは、フェンス越しのキス。
別れのキスの、始まりだった。