最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「(行かないで、生吹くん……っ!)」
止めたい、全力で止めたい。私は生吹くんを好きで、大好きで、何より大切な人。そんな人を、危険な場所に行かせたくない。
だけど――
「大丈夫です、行きます」
「!」
ちゅっ
抵抗も、拒否も。何もかもを邪魔される。しかも、その方法がキスだなんて――あんまりだよ。
何度叫んでも届かない。
私の、あなたへの思い。
「(生吹くんは、やっぱりズルい……っ)」
キスで私を説き伏せて。
藤堂先輩に聞かれたら嫌だという私の羞恥心を利用して――
そしてケンカに行こうとしてる。
キスを利用した、悲しい二人の最後。
それを生吹くんは、今、ここに作り上げた。