最強王子とフェンス越しの溺愛キス



「(行かないで、生吹くん……っ!)」




止めたい、全力で止めたい。私は生吹くんを好きで、大好きで、何より大切な人。そんな人を、危険な場所に行かせたくない。



だけど――




「大丈夫です、行きます」

「!」



ちゅっ



抵抗も、拒否も。何もかもを邪魔される。しかも、その方法がキスだなんて――あんまりだよ。



何度叫んでも届かない。
私の、あなたへの思い。




「(生吹くんは、やっぱりズルい……っ)」




キスで私を説き伏せて。
藤堂先輩に聞かれたら嫌だという私の羞恥心を利用して――


そしてケンカに行こうとしてる。





キスを利用した、悲しい二人の最後。


それを生吹くんは、今、ここに作り上げた。

< 357 / 447 >

この作品をシェア

pagetop