最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「はい、では、後ほど」
ピッ
「はぁ、はぁ……うっ~……っ」
急に静かになった、この場面で。
私の声は、冷たく響く。
「ひどい……生吹くん、ひどい」
「っ……。うん」
いいんだよ、それでいいんだ。美月――
そう言い残した生吹くんは、音もなくフェンスから腕を抜き、私から離れた。最後に抱きしめるとか、そんなことは一切なく。
「生吹くんっ!!」
もう開錠出来ないこの扉を、私はどうすることも出来ない。そうか、これも生吹くんの想定していた事だったんだ……っ。
『じゃあ出るよ。鍵、よろしくね』
『一度締めると、もう開けられないよ?』
『うん――いいんだよ、それで』
私を追いかけてこさせないための、生吹くんの罠。