最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「良い人に出会えたんだね。私はそれが一番嬉しいよ」
「うん……っ」
涙が止まらない。お母さんはいつまで経っても止まることの無い私の涙を、ハンカチで少しづつ拭いてくれる。
「私も春風さんの事が好きだけど、でも私はやっぱり――娘の方が大好きなのよね」
「それって、どういう……?」
顔を上げると、お母さんの手には鍵が握られていた。その鍵は――門の鍵。私と生吹くんが再び会える、魔法のような鍵だ。
「今にもフェンスをよじ登りそうな美月を見てたら、いつの間にか鍵を持ってここに来ちゃってたのよ。お母さん、昔から娘に甘くてダメねぇ」
「お母さん……ありがとうっ」
ギュッと抱きしめる。その時にお母さんは「本当はね」と、素直な気持ちを吐露してくれた。