最強王子とフェンス越しの溺愛キス
生吹くんと私が運んできた料理を、皆が美味しそうに頬張っているのが見える。それを見て、ふと――何一つ無駄じゃなかったって、そう思えた。
「私、強くなる……。まだまだ、弱いから……」
車の助手席に乗り、シートベルトを着けながら宣言する。するとお母さんは「大丈夫よ」と笑って、キーをひねった。
「だって今日はクリスマスでしょ?サンタさんに、自分のお願いをかなえてもらう日じゃない」
「……うんっ」
「車だからすぐ着くわよ。早くお願いしておかないとね」
「はい、お母さんっ」
久しぶりに会った時に見たお母さんは、随分と年を重ねたように見えた。けど、中身はまだまだ元気はつらつな女性であることに安心する。
私も変われるかな?見た目も、中身も――全部、ぜんぶ。