最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「おおぉ!生吹ぃ!」
「待ってたぞおいぃ!」
「デートはどうだったぁ!!?」
夕方の、まだ日が落ちる前の時間。生吹の姿は、両者の目に留まった。
生吹がMoonに加入した情報を外に開示していなかったため、今この場に生吹の姿を見たLunaから、どよめきの声が上がる。
「おい、あれ春風生吹かよ!?」
「アイツは暴走族には入らねぇって噂じゃ!?」
「じゃあ別人だろ!俺が行って確かめる!!」
一人の小太りな男が、二つの族のちょうど中間まで出てくる。そして「春風生吹ってどいつだ」と睨みを利かせた。
「ど、どいつもこいつも……」
お前知らねーの?――と小太郎が苦笑したのをしり目に、生吹が前へ進む。