最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「ねえ、立花美月ちゃん?」
「え、はい……そう、です」
そうやって声を掛けられたのは、学校の廊下での事だった。
生吹くんと会う(予定の)三日目の朝。
登校後、下駄箱から教室へ移動しようとしたその時。声を掛けられた。
振り向くと、そこにいたのは「白」が目立つ人。
「(白い肌、白っぽいグレーの瞳、白色の頭……全部、白)」
かろうじて黒のブレザーを着ている。
けど、真っ黒のブレザーを着ているからこそ、白の部分が余計に目立つのかな?
と、とにかく。
全てが目立ちすぎる容姿の男の人。
思わず息を忘れて、じっと観察してしまった。
すると男の人が、慌てたように手をブンブン振る。しかも、すごく激しく。
「やだ~ごめん!僕、白すぎるからスゴイ怖いよねぇ!
でも安心して!僕の目はカラコンで、髪も染めてるだけだから!」
「そ、そうなん、ですね……」
しっとりとした白色に似合わず、賑やかに話すその人。一呼吸して落ち着いたのか、姿勢を正して薄く笑う。
そして「申し遅れたね」と言い、端正な顔で私を見た。