最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「もう時間か――開戦の火ぶた、
俺の手で切って落としてもいいですか?」
「っ!!!」
その時に合った生吹の目は、今までとは比べようのないくらい冷え切ったものだった。何も写さない、何も見ていない。何も信じず、己の力だけを一途に思って――
「みんな、よく見とけよ……」
気づけば、俺の声が少し震えていた。これから起こる事に、これから目にする光景に気持ちが高揚して、武者震いが起きている。
仲間も、俺の言葉の意味を理解しているのか――どんどん小さくなる生吹から一瞬だって目を離していない。ゴクッと、誰かが固唾を飲む音が聞こえた、その時。
前進していた生吹の足が、ピタリと止まる。