最強王子とフェンス越しの溺愛キス
と疑念を抱いた、その時。ちょうど鉄パイプを持った一人が生吹に殴りかかってくる。鉄パイプかよ……と俺は生吹を庇おうと前に出ようとした、が……
「そういうのいいんで、早く行ってください。大将負けたら終わっちゃうんで」
生吹が鉄パイプを奪い、そして逆にちらつかせて脅す。相手は腰が抜けて立てない哀れなサマだった。でも……分かる気もした。だって生吹から発せられる禍々しいオーラは、尋常ではないから。それに、プラス鉄パイプだ?
「(脅される側じゃなくて良かった)」
心から、そう思った。
「すばしっこい小太郎も一緒に連れて行く」
「あんま深追いはしないでくださいね」
片手をあげて、小太郎に呼びかける。その時にスマホがブーと振動した気がしたが……今は見ている暇はない。
「どこいくんスか!?」
「敵情視察だ」