最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「僕の名前は、純白 純弥(じゅんぱく じゅんや)。
A校の三年だよ。
美月ちゃんは一年だよね?」
「(名前まで白い!)」
聞きなれない名前にビックリする。純白なんて、そんな苗字の人がいるんだ。
「あ、僕の名前を聞いて驚いてる?」
「す、少しっ」
「そーだよねー!みんな同じ反応するから気にしないで。あ!僕の事は純弥先輩って呼んでね!」
あっけらかんと話すその人に、思わず圧倒される。
決して怖い人ではないんだけど、でも、どこか人とは違う雰囲気がある。この人の言ったことには従ってしまうような、そんな言霊的なものが――
「美月ちゃん、もしもーし?」
「あ!す、すみません。
えと、純弥、先輩……?」
「うん、いい!
美月ちゃん、とってもいい!」
「(な、なにが……っ?)」
相変わらず純弥先輩のハイテンションに押される私。
その際、手持ち無沙汰になっていた私の手を、純也先輩が軽く握った。
「え、純弥先輩?」
ビックリして名前を呼ぶと、純弥先輩は「シー」とジェスチャーをする。
「美月ちゃんにね、伝えたい事があるんだ」
「伝えたい、こと?」
「そう、すっごく大事なことだよ」
大事なこと――と言われると、聞かないわけにはいかない。
私は自然と、足の向きを純弥先輩に合わせる。そして先輩が歩くのに合わせて、私も自分の足を繰り出した。
そして、そのまま屋上へ到着する。
すると、屋上へ着いたと同時にチャイムが鳴る。一限目の開始のチャイム。
それを聞いた純也先輩は「あらら」と驚いた顔をした。そして一緒にいる私を見て、申し訳なさそうに眉を下げる。