最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「どうせ黒幕探してんだろ、アイツ」
「なんで知ってる?」
「アイツのしそうな事じゃん」
ダチだからな。分かんだよ――
しばらく走って、俺たちは生吹のいる場所まで戻って来た。来る途中で小太郎に電話を繋げたら「一輝が生吹の所へ戻れって言ったので戻ったッス!」と言った。
良かった、小太郎が無事で。
それを思ったのが本音で。本当で。
こんな決闘を目のまえにしても、そんな弱々しいことを思ってしまう自分が情けなくなる。
「(そういえば、前もこんな事を誰かと話したような……)」
そんな事を思っていた時、生吹の姿が目に入った。最初に宣言した通り、線から後ろには下がっていない。ばかりか、特攻隊長も全員まだ立って奮闘している。