最強王子とフェンス越しの溺愛キス

よく見れば、特攻隊長が危うくなったところを生吹が加勢して回って行っているようだった。もちろん、自分めがけて来た相手も、完膚無きまでにのしながら。



「お前のダチはバケモンかよ」

「そーだよ。見りゃわかんだろ」



Lunaが紫野郎に「化け物並みに強い生吹には、正々堂々じゃ敵わない」と訴えた理由が分かる。

そりゃ、無理だ。アイツを前に、それでも立ち上がれるヤツは存在しない。



「藤堂さん。と、一輝?」



まるで道端で会ったかのような軽い挨拶で、生吹は俺たちを見た。「これ、黒幕」と一輝が簡潔に伝えると生吹はしばらく寡黙になる。

おおよそ、こんなにあっけなく終わっていいんだろうか――とでも考えてるか?



そう予想していた俺。

だけど、返ってきた答えは予想を超えていたものだった。

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