最強王子とフェンス越しの溺愛キス


だけど生吹は、速さでも力でも敵う相手ではなかった。俺と一輝の拘束を瞬時に解き、自由になる。

そして、




「やっぱり――――殺す」




生吹は瞬く間に走り抜け、瞬時に新島との間合いを詰める。そしてナイフを持っている相手にひるむことなく、足や手を繰り出して、手当たり次第に痛めつけているようだった。



「が!ぐ!?」

「そのナイフを貸せ。まずはお前の口からそぎ落とす」



シュ――とナイフをかすめ取った生吹は、その刃先を躊躇なく新島の口に向けた。



「やめ、生吹!」と一輝が口にしたのを聞いたのか、聞かなかったのか。生吹はピタリと止まる。


だけど、安堵してはいけない。安心してはいけない。だって見ろ、今の生吹を。アイツに、さっきまでの冷静さはない。手は怒りに震え、開ききった目は憤怒に満ちている。


そんな生吹が淡々と喋る。


今躊躇するもの、ヤツの前に一切なしだ。


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