最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「そうか。口よりも先に、こっちを落とせばいいな」
新島の首に腕を回し、ダンッ!!と地面にたたきつける生吹。その速さは目にもとまらぬソレで、俺や小太郎は息を呑んで見守る。
「”こっち”が何のことか。ゲスな事しか考えないお前なら、分かるよな?」
新島の前髪をグッと持って、生吹は顔を近づける。ナイフは心臓にあてていた場所から、ツツツと降りていった。そしてズボンのチャックがある、あの部位のあたりでピタリと止まる。
「バイバイ」
そしてナイフの切っ先に力を籠めようとした、その時。
「生吹、やめろ。そんなん切ってどーすんだよ」
一輝が冷静に止めに入る。良かった、一輝なら生吹を止めることが出来るんじゃないのか?
ほっと、一抹の期待を抱いた俺。だけど、次の言葉で期待し損だったと項垂れる。