最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「拾ってくださり……ありがとう、ございます……っ」
「ん、どういたしまして」
顔を下げたまま、手を伸ばしていた私。
だけど、男の人がなかなか袋を渡してくれない。
「(……ん?)」
不思議に思って、顔を上げる。
すると、すぐ目の前に、男の人の顔があった。
あの綺麗すぎる顔が、目の前に――
「きゃあ……っ!?」
「わ、ビックリした」
突然に声を上げた私に驚いて、男の人は一歩後ずさった。
「(わぁ、綺麗な人って、どんな顔も絵になるんだ……)」
「驚いた顔も綺麗」なんて呑気な事を思っていた私。
バクバクと音を立てる心臓を、一生懸命に宥めながら「すみません」と謝った。
「お、驚かせてしまって……。
ご、ごめんなさい……ッ」
すると男の人は、一瞬だけキョトンとした顔になる。
だけど少しの間を置いて、ニコリと、緩く口角を上げた。