最強王子とフェンス越しの溺愛キス

「拾ってくださり……ありがとう、ございます……っ」

「ん、どういたしまして」



顔を下げたまま、手を伸ばしていた私。

だけど、男の人がなかなか袋を渡してくれない。



「(……ん?)」



不思議に思って、顔を上げる。

すると、すぐ目の前に、男の人の顔があった。


あの綺麗すぎる顔が、目の前に――



「きゃあ……っ!?」

「わ、ビックリした」



突然に声を上げた私に驚いて、男の人は一歩後ずさった。



「(わぁ、綺麗な人って、どんな顔も絵になるんだ……)」



「驚いた顔も綺麗」なんて呑気な事を思っていた私。

バクバクと音を立てる心臓を、一生懸命に宥めながら「すみません」と謝った。



「お、驚かせてしまって……。
ご、ごめんなさい……ッ」



すると男の人は、一瞬だけキョトンとした顔になる。

だけど少しの間を置いて、ニコリと、緩く口角を上げた。


< 4 / 447 >

この作品をシェア

pagetop