最強王子とフェンス越しの溺愛キス


「ガァッ!?」
「引け!こいつら、ばけも、ブッ!!?」



殴って、蹴って、倒して、進んで――




だんだんと立っているものの数が少なくなってきた時。暴れまわる白いのを見た藤堂さんが「思い出した」と口にする。




「いつか純弥に言われた事がある。“ 伊織は総長になりたくないのか”って」



傍にいた一輝が「唐突に思い出したな」と言った後、だけども気になるのか「それで」と先を促す。



「なんて答えたんだ?」


「“ 俺が率いるMoonは温厚派になるからダメだな”って正直に答えた。けど、その翌日に――俺を総長代理に命ずると、アジトに例のカードが置かれていた」



あれは、テストしていたんだ。俺を――
俺にMoonを託していいかどうかの、テストを。




「はぁ」と深いため息を零す藤堂さんを、一輝が不思議そうに見た。


< 400 / 447 >

この作品をシェア

pagetop