最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「ガァッ!?」
「引け!こいつら、ばけも、ブッ!!?」
殴って、蹴って、倒して、進んで――
だんだんと立っているものの数が少なくなってきた時。暴れまわる白いのを見た藤堂さんが「思い出した」と口にする。
「いつか純弥に言われた事がある。“ 伊織は総長になりたくないのか”って」
傍にいた一輝が「唐突に思い出したな」と言った後、だけども気になるのか「それで」と先を促す。
「なんて答えたんだ?」
「“ 俺が率いるMoonは温厚派になるからダメだな”って正直に答えた。けど、その翌日に――俺を総長代理に命ずると、アジトに例のカードが置かれていた」
あれは、テストしていたんだ。俺を――
俺にMoonを託していいかどうかの、テストを。
「はぁ」と深いため息を零す藤堂さんを、一輝が不思議そうに見た。