最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「腕を買われたんだ。光栄じゃねーか」
「甘いな一輝。今までずっと秘密にされてたのが腹立つんだって」
そう言って、藤堂さんは徐にポケットからスマホを取り出す。
紫野郎に会う前に鳴ったバイブ音は、どうやらメールだったらしい。腕の傷を一輝に手当をしてもらいながら、藤堂さんは読み上げた。
「“ 今まで黙っててごめん、ありがとう。総長代理は伊織じゃないと務まらなかった”――か」
「一応、謝ってるな」
「……はぁ。貸しは大きいからな、純弥」
そのメールは、白いのが藤堂さんに送ったもの。今日はどうやら最初から白状するつもりで、この場にやってきたらしい。
バキッ
Lunaの最後の一人を俺が倒し、紫野郎の仲間の最後の一人を、白いのが倒した。
これで、この広い荒野に立っているのは、俺と白いのと、藤堂さんに一輝。そしてMoonの仲間たち。