最強王子とフェンス越しの溺愛キス
ドゴッ
体に当たったとは思えない重たい音が響く。間一髪、腕を使ってアバラに致命傷を受けるのは逃れたが……もしも防御が間に合わなかったら骨は粉砕だ。
「バケモノ……」
「お前が言う?それに俺の話を聞くってんなら、よそ見するんじゃない。そして一字一句、聞き逃すな」
「……」
いつもの飄々とした態度は、もうどこにもない。白いのは本当に、覚悟をしているようだった。全てを話す覚悟を――
この機を逃したらいけないと、俺は切り込む。それは、白いのの核心に迫る言葉。
「なぁお前、一体いくつ顔を持ってんの?」
俺の疑問に、白いのの顔が僅かに揺れる。そして、ピクリと口の端が動いた。だけど、何も言おうとしない。答えようとしない。口を割らない。
往生際の悪い奴――と思っていると、藤堂さんが「生吹」と俺を呼ぶ。