最強王子とフェンス越しの溺愛キス
だんだんと小さくなっていく彼女の姿。まるで泣いているように見えたけど、今ここで美月を追いかけると、きっと皆にからかわれると思って――追いかけられなかった。
『あした、ちゃんと、あやまろう』
だけど、それは叶わなかった。
そして俺はこの時の事を、今後一生、後悔するようになる。
『立花美月ちゃんですが、ご両親を事故で亡くし住むお家が変わったので通えなくなり――急ですが、昨日でこの幼稚園を退園することになりました』
『たい、えん……?』
幼児相手に噛み砕いて話すと、俺らにダイレクトに傷を負わせかねないと思ったのか。職員はわざと難しい言葉でサラッと告げた。
俺が本当に、その内容を理解したのは――美月と一週間、会えなくなってからだ。
『施設に預けられたそうよ』
『え、あのちょっと山奥の?』
『かわいそうにねぇ』
『もう会えないなぁ』
両親が家でそう話しているのを耳にした。その言葉で、俺は全てを理解した。