最強王子とフェンス越しの溺愛キス


『一年の立花美月って、魔女なんだぜ?』
『え、魔女?美人だって噂だけど』
『目を見たら心臓もってかれるとか』
『ひーおっかねー。気味悪ぃよ』



そんな噂を耳にしたのは、春になってすぐ。美月に会いたくて、どう話しかけようか迷っていて、考えて居たら一日があっという間に過ぎていた、あの頃――



『魔女……美月が?』




魔女なんて噂、幼稚園の頃には流れていなかった。むしろ、誰にでも優しくてかわいくて、心の綺麗な女の子。



なのに、どうしてだ。どうしてそんな噂が――?そんな堂々巡りをしていた時だった。



俺の中で、あの言葉が蘇った。




――すきじゃない。みつきがひとりで、もりあがってるだけ




『まさか……』




胸騒ぎがした。まさか俺の一言が原因なのか?美月が魔女って言われているのは、もしかしたら俺のせいなんじゃないのか?



答えが出るのに、時間はかからなかった。美月の笑顔に影を差しているのは俺に違いないと、すぐに判断した。

< 413 / 447 >

この作品をシェア

pagetop