最強王子とフェンス越しの溺愛キス
*美月*
*美月*
『でもね、君に見破られなかったのが俺は何より嬉しいよ――美月』
全てを聞いて、頭が真っ白になった。
立っていることもままならず、隠れていた場所に足からドサリと崩れ落ちる。
「今、純弥は“美月ちゃん”って言った?それに何か音が、」
「俺が見てくる」
数メートル先にいた一輝くんが、少しずつ私に近寄る。そして、ほどなくして。放心状態の私を見つけた。
「美月ちゃん!?」
私が夕方渡したマフラーをしてくれている一輝くんは私を見ると、すぐに駆け寄ってきてくれた。
私は「ここに私がいるって知れたら生吹くんは怒るだろうな」と頭の隅で考える。
だけど、そんな事を考えながらも――私の目は、純弥先輩に釘付けになっていた。