最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「怪我はないか?とりあえずこっち……歩けるか?」
「う、ん……」
一輝くんに体を支えられ、私はのろのろと立ち上がる。その際に、遠くの方にいた生吹くんと目があった――気がした。
だけど生吹くんは一瞬すごく驚いた顔をした後に「なんで……」と呟いたきり。それきり、一切私に目を向けなかった。やっぱり怒るよね……と、自業自得ながら傷ついている自分がいる。
でも、進まなきゃ。
どんな状況であれ、純弥先輩から全てを聞かないと一歩も進めない。そんな気がするから。
「さっきの……って、本当……ですか?」
グルグル頭が回る中、やっとの事で声が出る。絞り出して出る、ギリギリの声量。
だけど純弥先輩は、距離があるにも関わらず「うん」と私の目を見て頷いた。