最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「真白は俺だよ。そして君の初恋の赤目も、俺だ」
「……っ」
やっぱり。さっきコッソリと聞いていたのは、事実だったんだ。純弥先輩の気持ちに気づかず、そして再会しても尚、同じように過ごしていた私。
「ごめん、なさい……っ」
「美月ちゃん?」
「ごめんなさい、純弥先輩……っ」
私の目から、涙が零れ落ちた。
だって、知らなかった。純弥先輩が、あの赤目くんで……そして幼稚園の頃からずっと私を思っていてくれていたなんて。知らなかった。
「(気づけなかった、知ろうともしなかった……っ)」
静かに涙を落とす私を見て、純弥先輩も悲しそうな顔を浮かべる。
「きっとあの時も、君はこうやって一人泣いてたんだろうね」と、私を傷つけただろうあの過去を回顧しているようだった。