最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「ショッピングをした日、カフェで”純弥とキス出来るか”と真白が聞いたね。まあ俺なんだけど。その時に、美月は言った。俺の”好き”は家族愛のようなものだって」
「!」
確かにそう言った。だって純弥先輩が、まさかここまで私の事を思ってくれてるとは思わなくて……。
「それにその後、美月を家まで送った時――
君は言ってくれた。美月は忘れているかもしれないけど」
「……っ?」
『真白ちゃん、帰らないの?』
『美月が家の中に入るまで、見届けさせて』
『さっきのセリフ、真白ちゃんが彼氏みたいで、すっごくカッコよかった!』
『!』
「あの時間、一瞬の事だけど。俺は美月の彼氏になれた気がした。君にそう言って貰えた事が、嬉しくて仕方なかったんだ。
俺にとってはあの言葉が全てで、全部だった。あれ以上は何もいらないって、満足できた。
だから俺は初恋を終わらせられたんだよ、美月」
――ありがとう美月、さようなら
ドアが閉まる際に何かが聞こえたと思ったけど……まさか、純弥先輩がそんなことを言ってたなんて……。
「ごめ、なさ……、純弥先輩……っ」
泣き崩れる私の肩を、一輝くんがギュッと抱き寄せてくれる。誰かにもたれていないと、純弥先輩への申し訳なさに潰れそうな気がした。