最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「ごめ、なさい……っ。憶測だけで、そんな事を言って……っ。先輩は、私の事をこんなにずっと思ってくれていたのに」
すると純弥先輩が「違うよ」と笑う。悲しくない笑顔、切なくない笑顔で。
「あの時、俺は美月への気持ちにさよならをした。長かった片思いが、やっと終わった。あの日、美月がああ言ってくれたおかげで……俺は完璧に、自分の初恋に幕を下ろすことができたんだ。
だから、お礼を言いたいのは俺の方だよ。美月、ありがとう。今までごめん。真白になりきっていたけど、一緒にいられて本当に楽しかった」
「~っ」
頭をブンブンと横に振る。「私も…」と呟いた言葉に、生吹くんが少し反応する。
「私も純弥先輩に会えて、真白ちゃんに会えて……赤目くんに再会出来て、本当に嬉しかった。
赤目くんだって、すぐに気づかなくてごめんなさい……っ。ずっと支えてくれて、ありがとう」
「……うんっ」
ニコリと笑った純弥先輩の目から、一筋だけ涙が流れ落ちたのが見えた。それは月の光に照らされて、一瞬の流れ星のように光った。その涙を見て、私が思う事。