最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「(やっぱり、こんなの間違ってる……っ)」
拳にギュッと力を入れた時。
「決着がつくよ」と藤堂先輩が抑揚のない声で述べた。
見ると生吹くんが、拳を使って最後の一発を純弥先輩に浴びせる直前だった。
「や、めて……っ」
私をなでてくれたその手で、
私を抱きしめてくれたその手で。
誰も傷つけないで、お願い――
「やめてー!!!!」
気づけば私は勢いよく飛び出し、そして渦中の二人の間へ割って入った。
私の姿を見た生吹くんは全神経を使って、助走をつけた腕を何とか停止させ、
私に飛びつかれた純弥先輩は、バランスを失ってその場に膝をつく。