最強王子とフェンス越しの溺愛キス
ドサッ
「はぁ、はぁ……」
「あ、あれれ……」
生吹くんの息遣いと、純弥先輩の気の抜けた声。
私は純弥先輩に顔を埋めたまま「もうやめて」と、それだけ呟いて――気を失った。
「……こんな無茶して、美月」
そんな私を、生吹くんが抱き上げる。涙で濡れた私の顔を、器用に指で拭った。
「そんなに大事そうに見るならさ、」
「……なんだよ」
「……いいや。君も俺と同じで、不器用って事だね」
「……」
純弥先輩は「ヨッ」と軽い掛け声で、その場に立つ。