最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「美月が好きなのはお前だよ。本当、腹立たしい。お前に手を汚させたくなかったんだよ。それに――
女に庇われるなんて、その時点で俺は総長失格だよ。今、この光景を多くのLunaとMoonが見てる。幕引きだ」
「……」
確かに。見渡すと、一度は地面に倒れた者も、顔だけ動かし決闘を見つめていたようだった。皆が見ている中、純弥先輩は負けてしまった。
「今日からお前がLunaとMoonの総長だ。この後、族を解体しようがくっつけようが、好きにするといい。だけど――
美月を悲しませるな。泣かせるな。そんな事をしたら、いつだってお前を総長の座から引きずり降ろしてやるからな」
「……誓う。俺は、俺のやり方で美月を守る」
根拠のない誓い――
それは純弥先輩に簡単に見破られる。
「やっぱお前バカ?その考えじゃ、美月は泣くだろ。さっきまで泣かせたの忘れた?」
「……」
「お前のやり方が全て正しいわけないんだよ。だから二人で一緒に考えればいい。お前がどんな総長になるかは――お前らで考えて、それで築いていけばいいだろ」
「俺らで考える……?」
「そーそー」と笑った純弥先輩が、藤堂先輩を見る。