最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「ここに良い見本がいる。ね、そうだろ伊織。暴走族ったって、常にケンカしてるわけじゃない。温厚派もいるって、改めて教えてやれよ。後輩に」
すると藤堂先輩が苦笑を浮かべた。
「総長の生吹に、下っ端の俺が“ 教える”?出来ねーよ」
「そういう固定概念から捨てないと、暴走族って変わらないよ~」
「さんざんひっかきまわしたお前が何を……」
藤堂先輩が呆れてため息をついた時に、一輝くんが口を開く。
「で、生吹……。お前は勝ったわけだけど……どうすんだよ。総長になんの?」
生吹くんはチラリと私を一瞥した後、一輝くんを真っすぐ見る。
「なるよ。俺は総長になる。どんな形であろうと、それは変わらない」
私を見ていると生吹くんはだんだんと、切なそうな瞳から、意志の籠ったブレない瞳に変わる。