最強王子とフェンス越しの溺愛キス


「ここに良い見本がいる。ね、そうだろ伊織。暴走族ったって、常にケンカしてるわけじゃない。温厚派もいるって、改めて教えてやれよ。後輩に」




すると藤堂先輩が苦笑を浮かべた。




「総長の生吹に、下っ端の俺が“ 教える”?出来ねーよ」

「そういう固定概念から捨てないと、暴走族って変わらないよ~」

「さんざんひっかきまわしたお前が何を……」




藤堂先輩が呆れてため息をついた時に、一輝くんが口を開く。




「で、生吹……。お前は勝ったわけだけど……どうすんだよ。総長になんの?」




生吹くんはチラリと私を一瞥した後、一輝くんを真っすぐ見る。




「なるよ。俺は総長になる。どんな形であろうと、それは変わらない」



私を見ていると生吹くんはだんだんと、切なそうな瞳から、意志の籠ったブレない瞳に変わる。


< 436 / 447 >

この作品をシェア

pagetop