最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「お前の欠けた月……俺が直す」
「ん?」
「俺が満月にして輝かせる。お前に出来なかったことを、俺はする」
「なーんか一言多いんだよなぁ。素直に喜べないってゆーか」
だけど純弥先輩は嫌な顔はせずに「ま、そうだね」と生吹くんを見て笑った。
「俺には出来なかったことだから。俺は、俺の思う月を作れなかった。だから――お前の月を、俺に見せてよ」
「……あぁ」
和解した後――純弥先輩が、笑顔で生吹くんの横を通り過ぎる。
その時、こんなことを聞いた。
「そういえば新しい族の名前は、もう決めてるの?」
純弥先輩に聞かれた生吹くんは「……」としばらく黙った後。静かに頷く。
そして、
「――」
ポツリと呟いた生吹くんの言葉に、純弥先輩が頷いた。「いいね」と、それだけ残して。
そして「伊織~病院行こうー」と藤堂先輩の元へ歩き出した。