最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「なぁ、一輝」
「ん?」
生吹くんが、呼び止めた。
「俺が総長をしたらさ、一輝は――」
少し揺らぎがあるような、そんな声色。何か不安に思ってるのか?と、珍しい生吹くんの姿に、一輝くんがフッと笑みを零した。
「安心しろよ。もしもお前が族を率いるっていうんなら――俺は加入するぜ」
「!」
「だってダチだろ?俺たち」
「……心強いな。ほんと」
お互いが背を向けたまま、ニッと笑みを浮かべる。そして――一輝くんが去り、生吹くんも警察の目に留まらない所へ移動を始めた。
ザッ、ザッ
格闘家ともとれる純弥先輩とやりあって、更には私をずっと抱き上げてくれて。
疲労困憊なはずなのに、生吹くんはずっと歩き続け、ついには施設の門の前まで帰って来た。