最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「けど、白いのが言ってた。暴力だけが守る事じゃないって。美月の納得する暴走族の形を、俺たちで作って行けばいいって」
「暴走族の形……?」
「うん」
それって、どんな形なんだろう――思い描く形に変えていけば、私も生吹くんも、ずっと隣同士で笑い合う幸せな日々が待ってるのかな?
「難しい、のかな……?」
「んーどうだろう」
だけど、生吹くんを見ていると「出来そうだ」って思えるから不思議。好きな人と一緒にいられるだけで、不思議と力が湧いてくる。
「私は血が嫌い、暴力も……」
「うん」
「そんなのがない世界を、生吹くんの手で作ってほしい」
「……だんだんスケールが大きくなってきたね」
ふふと笑みを浮かべるのは、いつもの生吹くんの雰囲気。さっきまでの殺伐オーラが完全に消えたのが嬉しくて、私は思わず「おかえりなさい」と生吹くんの首に腕を回した。