最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「噂なんてほっとけばいい。
だから美月は、ずっと笑っていて」
「生吹くん、」
すると、その瞬間。
頭を撫でていた生吹くんの手は、お弁当を支える私の手にツツ…と降りてくる。
そして、キュッと。
私の手を、上から握り締めた。
「(冷たい、けど……あったかい)」
一見スラリとした手に見えるのに、握られると分かる、生吹くんの手の大きさ。
指の一本一本が長くて、私の手なんて簡単に呑まれてしまう。
「……ね、美月」
「は、はいっ」
妙な緊張感が、私を襲う。
生吹くんも私も、お互いがお互いを見ないまま。
だけどお互いの存在を、これでもかというほど感じながら――私たちは視線を交わした。