最強王子とフェンス越しの溺愛キス


「美月が“笑いたい ”って願うなら。
俺が、その願いを叶える」

「え、どういう、」



スマホから視線を逸らし、顔を上げた時だった。


私の手を握っていた生吹くんの手は、私の後頭部に回り込む。

そして、そのままクイッと押して、私を自分のいるフェンスに近づけた。



「え、いぶ、」



名前を呼ぶ暇すらない程、生吹くんの顔との距離は、急速に近くなった。

その時に見た生吹くんの顔からは「余裕」の二文字は消えていた。代わりに熱の篭った視線を向けられ、私は身動きが出来なくなる。


そして、究極の選択を迫られた。



「嫌なら拒否して、美月」

「ッ!」



キスだ――



それに気付いた瞬間。

カッと恥ずかしくなって、思わず目を瞑る。


最初はお弁当を落とさないようにって意識してた。

けど、生吹くんがどんどん近づくと、そんな事を考えてる余裕はなくなる。


もう、彼はすぐそこ――



『嫌なら拒否して、美月』



「(嫌、なわけ……っ)」



そう思い、生吹くんに合わせて顔を傾けた、


その時だった。


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