最強王子とフェンス越しの溺愛キス
今は冬なのに、体の中がポカポカしてきて。暑い……、私だけ夏の季節みたい。
すると、男の人は「いいね」と。私に聞こえるか聞こえないかくらいの声量で呟いた。
「白い肌に赤が映えて……キレイだね」
「え?今、何か、」
顔を上げると、男の人はまた、ニコリと笑う。黒の瞳が半月になるくらい細められている。
この人、口でニッと弧を描くだけじゃなくて、目から笑ってくれるんだ。優しい人……。
「また、ここに来てくれる?」
「なんで、私……ですか……?」
「ん~分からない」
「え」
分からないんかい、と心の中で突っ込みを入れる。
「つまり、なんとなく……ですか?」
「うん、そう。何となく。また君に会いたいなって」
「へ、へぇ……?」
頭の中が、疑問符だらけな私。
人って、そんな曖昧な理由で、誰かに会いたくなるものだっけ……?